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2017年3月09日

( 10 月 20 日 、 東京文化会館小 ホール ) 柴田龍一

 

比石妃佐子

比石妃佐子(ひせき , ひさこ ) は 、京都芸大 を経て ヨーロッパ に 渡り

ザルツブルク の モーツアルテウム やハノーファー 音楽演劇大学 に 学び 、 さらにスペイン で アリシア・デ ラローチャ の 弟子 になったピアニスト である 。

 現在はバルセロナに在住する彼女は 、スペイン音楽のスペシャリストとしてバルセロナを本拠に演奏活動 を繰り広げているというが今回のリサイタルで は、 間 にドビュッシ ー の《 アラベスク 第 1 番 》と《月 の 光 》を挟み 、グラナドス の組曲「ゴィエスカス 」 全 7 曲が演奏された。 グラナドスの音楽 は 、 スペイン の 民族音楽 が フランス 印象派 の手法 を 採り入れ ながら 進化 を 続け 、それ によって到達 し た 結論 の 一つ と いえる もの に も 他 なら ない が 、比石 の アプローチ は 、 作品 が 誕生 する プロセス における そうした 背景 を そこに 如実 に 写し出した もので あり 、そこ で は 、 かなり フランス 的 と いえ る 彼女 の ピアニズム と 作品 の 特異 な 体質 が 違和感 なく 一体化 し て いる 様相 をはっきり と 見出す こと が できた。 彼女 の 演奏解釈それ 自体 は 、 熟考 さ れ た 読み の 深 さ に 裏付け られ た 内容 で あっ た が、

 

 そこ で は 、 明晰 な 視点 と ともに 作品 に対する 共感 や 情熱 が ただならぬ もの で ある こと も が クローズ アップ さ れ て おり 、

 それ は 、 この ピアニスト の 貴重 な 存在意義 を 印象づけ て い た と 考え て よい だろ う 。 ドビュ ッシー の 小品 も 、

 作品 の 様式感 を 適切 に 捉え た 演奏 で あっ た 。 ユニーク な 資質 を もっ た 日本人 ピアニスト で あり 、

 

今後もそのような活動が継続されていくことを望みたい。 ( 10 20 日 、 東京文化会館小 ホール ) 柴田龍一