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2012年3月17日

コンサート評:浜離宮朝日ホール。 菅野 泰彦

ラローチャに師事した比石妃佐子によるスペインもの、その演奏は音色やタッチなどの工夫もされて、民族情緒を表現。まず、グラナドスの「スペイン民謡による6つの曲」では中低音域を効かせ、とりわけ「プレリュード」でのギターを思わせる弾奏やコプラでの情感は聞きもの、「饗宴の響き」では力の抜けたタッチで、華麗に、「サパテアード」はダイナミックな表現で奏でられた。
ファリャの「4つのスペイン小品」での洗練された表現、とりわけ「アラゴネーサ」でのうねるような弾奏、「モンタニェーサ」では柔らかなタッチ、味わい深い情感を漂わせ、「アンダルーサ」はアクセントも強く、めりはりのある表現で印象を残した。
モンサルヴァチェの2曲、「ハバネラ」では波のような弾奏で、呼吸感のある
表現も印象的、「イヴェットの為のソナチネ」では独特な色彩感を表現、とりわけ終楽章は駆け巡るような弾奏で聞かせた。

 

 

 20111117日  浜離宮朝日ホール
音楽評論家 菅野泰彦